訃報

2007年12月18日 (火)

米ロックの良心、ダン・フォーゲルバーグが逝去

米ロックの良心、ダン・フォーゲルバーグが逝去

1号です。今朝なにげなく開いた新聞に悲しいニュースが載っていました。

ダン・フォーゲルバーグというシンガー・ソングライターの訃報です。

56歳。前立腺癌だったそうです。

70年代から80年代にかけて「ソフト・ロック」と呼ばれるジャンルを開拓した1人で、

とても優しい歌を歌う人でした。

静かで心地よくて、なおかつ耳に残るメロディを作るのは難しいことだと思いますが、ダン・フォーゲルバーグの曲が丁度バランスが良いポイントだったのではないかと思います。

彼の書いたそれぞれの曲が、まったく装飾的でないにもかかわらず、ロックの影響を継いで力強いフックを持ち、アコースティック・ギターやドラム、ベース、パーカッションの全てのパートの一音一音が印象的でした。

カントリー・ロックやフォーク・ロックとよばれる音楽をやるアーティストたちはとても交流が盛んで、ダン・フォーゲルバーグも、イーグルスやアメリカ、リトル・フィートといったバンドのメンバー、ニール・ヤング、ジャクソン・ブラウン、リンダ・ロンシュタットといったひとたちの輪の中にありました。

1974年、ダンの出世作となるセカンド・アルバム「アメリカの想い出」をプロデュースし、自らギターも演奏したジョー・ウォルシュという人は、当時スティーヴン・スティルス(元バッファロー・スプリングフィールド、クロスビー・スティルス・ナッシュ・アンド・ヤング)が集めたマナサスというバンドに参加していました。のちイーグルスの名盤「ホテル・カリフォルニア」(1976年)に参加し、ギターソロなどを務める人です。

いっぽうで、ロサンゼルスの慌しい音楽環境になじめなかった彼は、ロッキー山脈山中のコロラド州ボルダーに居を移し、マイペースな活動へと移行するのです。しかし、そんな環境の変化が見事に功を奏し、より多面的な創作を行うようになった彼はいっそうの成功を収めていきました。

『エッセンシャル・ダン・フォーゲルバーグ』というベストアルバムでは、そんなダン・フォーゲルバーグのさまざまな魅力に触れることができます。

日産のローレルという車のテレビ・コマーシャルにも使われ、「SHIFT NISSAN CM TRACKS」にも収められた爽やかなバラード「ロンガー(Longer)」にはじまり、1990年にフィアンセのアナスタシア・サヴェージに捧げられたアルバム『ワイルド・プレイセズ』に収録された、カスケーズ63年のヒットのカヴァーにビートルズのレインを挿入した「悲しき雨音/レイン(Rhythm Of The Rain/Rain)」、かつてバンド・リーダーだった亡き父への気持ちを歌った「バンド・リーダーの贈り物(Leader Of The Band)」に至る14曲と、天辰保文、デヴィッド・ワイルド両氏による細やかな解説書、またブックレットには全タイトルのジャケット写真といくつかのポートレート、収録された全曲の詳細かつ簡潔なパーソネル(演奏者一覧)が記載されており、入門者から音楽ファンまで充分楽しめる内容になっています。

カバージャケット写真に映る彼の美しい目が、今となっては遥か遠くを向いているようで、見ると心が痛むのです。

The_essential_dan_fogelberg